あまりに盛り沢山な内容だったため
まとめるのに時間がかかってしまい
1か月後のご報告になってしまいましたが・・・
G.W中に開かれていた講演会を聴きに上野の森親子フェスタへ行ってきました。
「子どもの本のこれから~未来への贈り物」という講演会で
角野栄子さん、高楼方子さん、富安陽子さんが三つ巴でトーク!!
(・・・どんなことお話するのかな?誰が進行するのかなぁ?)
などなど、ワクワクしながら参加しましました。
注目のお3人のトークという事で、とても人気のイベントだったようで
出版関係の方々の多いこと・・・
業界的にも幼年童話ファンにも気になるイベントだったことがわかります。
進行役はなんと角野さんでした!
あらかじめ決めておくことが好きではないから、今日のトークも自由に、
「ああいう人だから」というのを感じてもらえる会にしたいとおっしゃって、
まずは3人の自己紹介からスタート。
この自己紹介も一筋縄ではいきません。
銘々に3つの自己紹介をするのですが、その中で真実はひとつだけ・・・
皆さんしれっと3つのエピソードを語られるのですが
そのどれもが嘘のような本当のような・・・会場が笑いに包まれる役者っぷりに
筆が立つだけではなく、弁も立つのだなぁと感心してしまいました。
その後は一応(?!)お互いに質問し合うという形でトークは進みます。
どんなお話だったのかを少しだけ紹介すると・・・・
(私が聴きながらメモしたことなので、一語一句正確なわけではありません。
悪しからず!)
Q/幼年童話を制作する際に
「書かずにはいられない!」と思って書くときはありますか?
(角野さん)ある。書くのが好きなので。
締め切りなどにしめつけられるのが嫌。書きたいときに思いついたことを書く。
(富安さん)ある。毎日、何かしら書いている。
暮らしの中で物語のことを考えている。ドラマや歌などから「こうなったらいいな~」と思いつくことも。
(高楼さん)依頼されてから書く。ほったらかされたら何もしないかも・・・
「あらかじめ」「用意する」のが好きなので書くまでが面倒で精神的に負担。 でも、書き始めるとやっぱり好きでどんどんやっていける。
—ここで角野さんが高楼さんに「へんてこもりとかは違うでしょ?」と突っ込み。
あれは、用意するのではなく思い付きでどんどん書いたんじゃないの??と。
でも、高楼さんの答えはNO!
へんてこもりに関しても、名前からキャラクターから・・・熟慮したうえで書いた作品だそうです。
Q/物語を書く時は、主人公・風景・世界・・・どこから書き始めますか?
(高楼さん)物語の世界・・・全て一体ではあるけれど子どもの時に好きだったものをひろげて考えていく。
(富安さん)書くことが日常で毎日書いているので、その時の興味で1つの場面、1つのセリフからスタートしてそれを謎解きのようにはめこんでいくことが多い。
(角野さん)富安さんと同じようなスタンス。毎日書くことを課している。キャラクターなどは落書きした絵から始まったり・・・
自分の子ども時代はあまり参考にしていないが、自分の子どもにきっかけをもらったことはある。
・・・ここから、それぞれに母親でもあるお3人。自分の子どもがモデルになることはあるのか?という話題になり
(角野さん)自分の子どもがきっかけになることはあるが、キャラクターはキャラクターの人生があり、それを作るのが楽しい
(富安さん)モデルになっている
(高楼さん)自分の子どもは全くモデルにならず、自分の体感・思い出で書いている
と、これまた興味深いお答えでした・・・
三者三様の執筆スタイル!面白いですね。
実は、私の勝手なイメージとは少し違っていてとは少しちがっていて・・・
角野さんのお答えには「ほぉ~」と納得したのですが
実は富安さん、高楼さんもインスピレーションで
所謂「おりてくる」みたいな書き方をされているのかと思っていました。
皆さん、スタイルは違えど積み重ねで作品を作り上げているのですね~
他にも、書きたいキャラクター、書きたくないキャラクターのおはなしや
「小公女セーラ」をどのように読んだか?
一番初めに面白いと思った幼年童話は何?などなど、話題は多岐にわたり・・・
内容を全て記しておきたいところですが、
特に印象的だったところをピックアップしてみました。
その後、3人でじゃんけんをして
リレー形式で即興でお話を作るといういささか無謀な企画が・・・
幼年童話の名手のお3人でも、なかなか手こずっていらっしゃいましたが
そんな様子を見ることができるのも貴重な体験でした。
最後に幼年童話というものへの想いを語ってくれました。
こちらもニュアンスですが記しておきます。
(しつこいようですが、私が聴きながらメモしたことなので、
一語一句正確なわけではありません。)
(角野さん)読み聞かせをしても自分で本が読めるようになるわけではない。
そこから読書に至る橋渡しになるちいさな物語が幼年童話。新しい作家が、冒険心をもって書くことも必要
(富安さん)言葉の制約があるのが難しい。シンプルな中でどう面白くしていくのか。
「エルマーとりゅう」のような作品をもっと・・・
(高楼さん)小さな子どもは今も昔も変わらないのでは?
似ていないものを作る、新しものをどんどん作るというのは難しいし、そんなに沢山なくても良いのでは・・・と思ったりもする
—と、最後まで三者三様だったのですが、
それぞれに大きくうなずきたくなる部分があります。
自分自身の体験を振り返ってみても、
素敵な幼年童話との出会いはその後の読書体験に大きく影響すると思います。
子どもの時に出会ったものというのは、
そのまま自分の思い出の一部になっていますし、
その頃の、自分の世界をひろげてくれたものです。
もちろん、大人になってから出会って読んだ作品の中にも、面白いものはありますが
だからこそ「子どもの時に読んでいたらどんな風に楽しんだのかな」
と思うことが多いです。
以前から絵本と児童文学の間を繋ぐ幼年童話の存在を
もっともっと大切にしなくてはいけないなと思っていたので
今回の講演会を聴き、ますますその念を強くしました。
自分で選ぶと、ついつい自分自身が読んできたものに偏りがちなのですが、
こんなに魅力的な現在の作家さんがいらっしゃるのだから
新しい作品にも目を向けなくてはいけないなと反省。
同時に、これからも大切にしていきたいロングセラーも伝えていかなくては!
という念を新たにしました。
それにしてもお三方のトークは、色々な方向に話がとびまくり
かみ合っているようなかみ合っていないような・・・
それぞれの個性炸裂で大変楽しい時間でした。
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