先日、入荷してきた新刊の中で
私の目に飛び込んできた1冊がこれ!
『ベッツィ・メイとこいぬ 』(岩波書店)です。
イラストが可愛い!装丁が可愛い!それだけで
目を引いたこの本ですが、
作者を見ると『おちゃめなふたご』シリーズの
ブライトンじゃないですか!
『おちゃめなふたご』シリーズは、小学生のころに「こんな学園生活を送りたい!!」と、寮生活のあれこれや、真夜中のお誕生日パーティなどに胸を躍らせて読んだものです。
偶然にも、つい最近、大人買いをした友人に借りて一気に読み返したところで、今読んでも相変わらずクレア学院に入学したくなりました。
そのブライトンが、幼年向けのお話を書いていたとは知らなかったので、それだけでも「どんなお話かしら」と興味がわきました。
この『ベッツィ・メイとこいぬ 』では主人公の小さな女の子の日常生活の中でのちょっとした出来事を軸に、女の子の感情の起伏、周りの大人の対応などが丁寧に描かれています。
大きくなると忘れてしまいがちですが、子どもは子どもなりに、
自分の感情と自分の理屈と大人に言われたこととに折り合いをつけているということを思い出すことができます。
私は小さい頃の自分の心象風景が自然に思い出され、何だか胸の奥がキュンと疼きました。
同じくらいの年代の子どもが読めば、自然に気持ちに寄り添って、追体験できるのではないでしょうか。
ちょうど同じくらいの年代の女の子が主人公の
『ちいさいロッタちゃん』(リンドグレーン/作 偕成社)
『すえっこメリーメリー』(ロビンソン/作 大日本図書)
『きかんぼのちいちゃいいもうと』(エドワーズ/作 福音館書店)
も、やはり小さい女の子の日常生活、感情のひだ、絶妙な対応の周囲の大人が
描かれています。
どの子もぎゅううっと抱きしめたくなっちゃう大好きな女の子たちです。
大人になってから読むのももちろん楽しいですが、
ぜひ同じくらいの年代の時に、お友達になってほしいなと思います。
・・・『ベッツィ・メイとこいぬ 』の話に戻ります。
私がひとめぼれした装丁とイラストですが、どうしても気になることがありました。それは、この本にとってもよく似た作品を思い出したからです。
その本は、同じく装丁とイラストの可愛さにすっかりやられ、このところ私の春の定番となった『庭にたねをまこう』(岩波書店)です。
この2冊が、とってもよく似ていたので「同じ出版社のものとはいえ、作者が違うのに良いんだろうか・・・」と、ついつい余計な心配をしてしまいました。
が、『ベッツィ・メイとこいぬ 』を読み終えて後書きを読んで、その疑問が解決されました。
この本では、挿絵はジョージ・E・トーマスと表記されていますが、それは『庭にたねをまこう』の作者の
ジョーン・E・ロビンソンと同じ人物だったのです!
ロビンソンの遺族の意向で今回はこちらの表記になったとのこと。
同じ作者の絵であれば、似ているのは当たり前だったのでした。。。
文章だけでなく挿絵がたくさん入っているというのも幼年童話の嬉しいところ。
ロビンソンの、可愛らしくどこか上品なイラストが、
お話ごとに入っているので、こちらもたっぷり楽しめます。
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