7月19日から29日の間松屋銀座で開催している『絵本のひきだし 林明子展』に行ってきました。
今年の夏の暑さは尋常ではなく、銀座も歩いているだけで上から下から熱気が襲ってくるような気候で、さすがに人通りも少し少ない…と思ったのですが、原画展は朝から大盛況でした。
入場も、絵を見るのも、グッズを買うのもとにかく行列、行列…予想を超える混雑に改めて林明子さんの作品が世代を超えて多くの人に愛されているのだなぁと感じました。
会場に入るとまずは初期の作品がならんでいます。
今となっては大変貴重なイラストレーターとしての作品、
かがくのともに掲載された初めての絵本「かみひこうき」などは
私はほとんど初めて見た物が多く、知っているのに知らない…
という何とも言えない違和感で不思議な感じがしました。
「はじめてのおつかい」は何度も何度もくり返して読んでもらった絵本なので
どの絵を見ても懐かしく・・
この絵本が林さんにとってのはじめて物語絵本で、
しかもお話を作った筒井頼子さんにとっても、はじめての作品で・・・
と色々なはじめてが詰まった作品だと知り、今まで以上にこの絵本が大切に思えました。
私自身が、はじめてのおつかいに行くときは、(私の場合は近所のお豆腐屋さんでした)みいちゃんのように小銭を握りしめてドキドキしていたのを思い出します。
何度もこの本を読んでもらっていたので「みいちゃんみたいに私も頑張る!」と思っていましたし、おつかいができた後は、今まで以上にみいちゃんの気持ちと自分の気持ちがシンクロして
この絵本を楽しんでいたように思います。
久しぶりに今回、この原画を見進めていくにつれ
お豆腐屋さんへの道のり、お店に行く前に何度も練習した事、
お店の戸を開けるときに何度も深呼吸したことなど、
あの頃のソワソワした気持ちや光景が蘇りました。
他にも作品は多数展示されており、その原画の美しさ、下絵、ラフスケッチから作品に変化していく過程の面白さ、手法の違いなど見どころはたくさんあるのですが。
その中でも「ああ、そういえばあの頃は・・・」というように、
絵本と共に、そこに付随した自分自身の思い出がぽろぽろ出てくるものが
何冊もありました。
林明子さんの絵本原画を見るのと同時に、自分の子ども時代を降りかえっているような・・・なんとも言えない時間でした。
林さんは絵本を「なつかしい日々に出会えるアルバムのような存在」とお話されていますが、作者にとってだけではなく、その本を読んだ受け取り手にとっても、その絵本を読んでいた頃の自分に出会えるアルバムになっているんだなぁと感じます。
私にとって懐かしい本が、
いまの小さい子たちにとって
「お気に入りの本」であるということを考えると、絵本って改めて素敵なものだなぁと思いましたし、
良いえほん(人それぞれ定義は異なるかとは思いますが)が読み継がれていってほしいなあと思い、展覧会場を後にしました。
因みにグッズ売り場はとってもとっても混んでいますので、欲しいものがある方は覚悟を持ってならびましょう。