私が初めてこの物語に出会ったのは5歳の時です。
今となっては当時どこにそんなに惹かれたのか思い出せませんが、
とにかくこの力強い物語に夢中になり、インガルス一家が大好きになり
自分もこの家族の一員になったような気持ちになりました。
私に付き合ってくれたのか、
私が夢中になったのを面白く思ったのかわかりませんが
同じ時期に両親もこの物語を読み返しはじめたため、
競うようにして本を奪い合い(笑)
黙々と読み進め、我が家ではしばらく大草原の小さな家の静かなブームが巻き起こっていたました。
振り返ると、この頃に物語を読むこと、物語の世界を味わうことの楽しさを知ったのかなと思います。
すっかりインガルス一家の物語に夢中になった私は
1ターン読み終えたら、また好きなところをなめるように読み返し、
インガルス一家の食卓に並ぶ料理、ローラとメアリーが母さんに作ってもらった服の生地の色、お店で買ったキャンディに書かれている文字まで…隅から隅まで読みつくしました。
ノリの良い祖母がメアリーとローラの衣装やボンネットを従妹と私に作ってくれたりもしました(今思えばコスプレですね(笑))
得意満面、心身ともに、インガルス一家の一員になったような気持ちがしたものです
そしてこのシリーズの魅力の一つは…
なんといってもインガルス一家の食卓です。
最初に読んだときには、ブタのしっぽをあぶって食べるとか、
雪の中にとうみつをたらしてキャンディにするとか…
そういうものにワクワクしましたが、
何度も読むうちに食料がない時や状況が厳しいときに、
母さんが工夫して作る料理やみんなでわけていただく食べ物の描写こそがいきいきとしていて魅力的だと感じるようになりました。
例えば、サワー・ミルクをつくるのにじゅうぶんなミルクがないから…
とサワー・ドウ(すっぱいねり粉)を使ってビスケットを作ったり、
いためた豚肉の油でジャガイモを焼いたり、グレイビイを作ったり…
よくよく考えてみると、決して豊かな食卓ではないのでしょうけれど、
足りない材料の中から工夫して少しでもおいしいものを作ろうという気持ちが伝わってきて…何度読んでも飽きないし、毎度(…年を重ねるごとにかもしれません)その創意工夫に感心します。
逆に、『農場の少年』の方はただただおいしそうなお食事場面がたっぷりと描かれているので、こちらはストレートに幸せな気持ちになります。
お料理の部分だけを読んだだけでも、かなり幸せ度数があがります。
どれか1冊…ではなくてシリーズで読むのが断然おすすめです。