4月の1冊は『野生のロボット』(ピーター・ブラウン/作・絵 前沢明枝/訳 福音館書店)でした。
今回のレポーターのKさんが
野生の中で生きるロボットの運命を描いた『野生のロボット』と続編の『帰れ野生のロボット』をAIやロボットの定義の解説や、実際に小学6年生に向けたこの本を入れたブックトークの紹介など、様々な側面からこの物語の魅力を紹介してくれました。
2冊とも自然と科学、さらには人間社会のあり方についての問いかけに満ちた物語ではあるけれど、1冊目の衝撃に比べ2冊目は結末が想像できてしまうという点も指摘しておられました。
参加者からは今回も様々な感想が飛び交いましたので、いくつかをご紹介します。
・「野生」と「ロボット」という意外性が面白い
・男性だと思っていたら母でびっくりした
・キラリを育てるうちに母性が育っていくのがわかった
物語の意外性に驚いた方や、ロボットやアンドロイド、AIの出てくる別の作品名を挙げる方が多くいました。
・回収に来たロボットを動物たちがやっつけていくとことろがディズニーアニメのような展開
・最初の印象は「ラピュタ?」だった
・ロボット兵を思い出した
・関連性があると思い「アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド」を観に行き、近未来はこうなるのかなと思った
・「クララとお日さま」を読んだ後だったので悲しいイメージで読みはじめたが、また違った印象を受けた
また、読みやすさに言及している方も多く
・1章が短いので読みやすい、短い章立てが読みやすい
・1章1章が短いのがアニメのコマ送りのように感じた
・1章が短いので詩を読んでいる感じ
1章ごとが短いというのが読みやすさに繋がったようです
作者がイラストも描いていることに
・こだわりを感じる
・イラストが洒落ていてお話にピッタリ
・表紙に物語の世界観が表れていると思った
など、好意的な方が多く作者の思いを強く感じたという感想が多く聞かれました。
・純粋に子どもの心で読める本
・子どものように「ああ面白いな、続きを読みたいな」と感じられる健全なお話
・切ない物語
・期待せずに読んだらとても良かった
・最後の瞬間まで生きようとする姿が心に突き刺さった
また
・動物とのかかわりでロボットが心を持つのが印象的
・ロボットが心を持つというところが好印象だった
という意見の一方で
・ロボットに心があるのかというところをうやむやにしているようにも思った
という指摘があったように「ロボット」の設定や読み手の認識でひっかかるところも出てくる場合もあるようでした。
・AIの是非を問いかけている
・AIの進歩には倫理が必要
・現代はAIとどう付き合っていくのかという時代になっていると感じる
・友情や命に真摯に向き合っている作品
・心とはなにか?を考える本
子どもから大人まで惹きつけられるエンターテイメント性と今後の問題提起・メッセージの両方を兼ね備えた作品だと思いました。
中学校1年生の男の子がこの作品にはまって、
夏休みの感想文を書いたり、ビブリオバトルで取り上げた…という報告もあり、幅人い年代の読者に読んでもらいたいものです。