8月の1冊は『マイブラザー』
(草野たき/著 ポプラ社)でした。
Sさんがレポーターでした。資料が少ない中、出版されているほんを、品切れで入手不可のものも含め、たくさん集めてきてくれました。本の内容を、丁寧におってレポートしてくれ、作品の理解をふかめるのに、大いに役立ちました。
また、今回も、前回につづいて高校生2人が参加してくれ、とても新鮮な感想を述べてくれました。
参加してくれた方の感想
〇とても、サラサラ読めたが、あまりはまって読むことが出来なかった。最近の中学生は、この本をどう読むのかなと思った。中学から受験して、ライフプランを立てなくてはいけないなんて深刻だと思う。わたしの時は、大学になって考えたけどなあ・・・
〇この主人公たちをおおっている息苦しさは何だろう。それとは、反対に弟の自由奔放さにも驚く。弟は、愛情不足もあるのかなあ。でも、重要なキーパーソンであることにまちがいない。
〇はじめ、表紙の感じからして、ヤングケアラーの本だなと思って読み始めたが、主題はそこではないかな。読後感はよかった。
〇お話としては、上手にまとまっている。海斗が、これほどまで、おとうさんというものに理想像をもつなら、もう少し、二人の関係を書いてほしかった。おとうさん像のイメージがつかみにくかった。
〇今どきの子と自分の感覚がずれているなあと感じた。おとうさんも、夢を追う前に子育てしてほしかったなあ。おかあさんが支えなかったら、子どもたちが大変なことになっちゃう!
〇主人公は、小5か小6くらいのイメージだった。中学生ってもっとモヤモヤしているのではないかなあと思う。ストーリーとしてはおもしろかったが、両親がなぜ、子どもにきちんと話をしないのかな。
この作家は、女の子を書く方が上手いと思う。
〇読みやすくて、おもしろかった。両親が離婚しなくてよかった。
5歳の男の子総也に注目して読んだ。主人公の海斗が、弟の世話をすると、よく眠れるのはよくわかる。このころの子どもの運動量はすごいから、つきあっていると、体が疲れてよく眠れる。この弟がいるだけで、いい影響が出ていると思う。この子の存在自体が、うれしくて、ありがたい。このおかあさんもすごい。
〇この本を読んだ中高生が、人それぞれのの価値観で生きていけばいいんだな、と思ってくれたらいいなあ、と感じながら読んだ。自分のことかんがえても、中高生の時は、よく親の悪口をいってたなあ、となつかしく思い出した。
〇総也の登場はなぜ?この本の内容にはそぐわないなあと思いながら読んでいたが、みなさんの話を聞いていて、納得した。
主人公のおとうさんは、自分の父親が喜ぶから勉強した、入江倫太郎という海斗の友だちもそう。でも、違和感を抱えて生きていた。こういう人は、案外多いのではないかなあと思う。他の方もいっていたが、何冊か他の本も読んでいるので、草野さんは、女の子が主人公のほうが得意な書き手なのかなと思う。
〇途中から、登場人物がみな動き出す。そこに共感した。わたしもまねしてみたい。総也の影響を受けて、変わっていくところがいいなあ。
〇主人公が、自分より年齢の低い子の話は、ひさしぶりに読んだ。でも、登場人物の感情があちこちに行って、読んでいて疲れた。登場人物がみな言いたいことを、内に秘めるのがかっこいいと思う所が、とても中学生っぽくて、自分の中学生時代と重なる。
母親が覚悟を決めたところが、かっこいいい。最終的にキラキラした未来にみんなが飛び込んでいく感じで、すてきだが、こんなに甘くはないぞとも思った。
〇こんなかっこいい母親になれるかな。
年の離れた兄弟というのは、お互いに、どんな存在なんだろう、一人っ子づつというかんじもして、学び合いはあるのかなあと思っていたが、ちょっとわかった気がする。
この本にちなんで、参加者各自に、どんな中学生時代をすごしていたかを、短くスピーチしてもらいました。
すると、いろいろな生き方が見えてきて、一同「ほー、そうでしたか」「え?あなたも」と盛り上がったり、納得したり。
どの人にも、チクチクささる思春期があったのだと感じました。
本を読むと、一瞬にしてその時代に逆戻りするのですが、
現在の自分は、その時代を生き抜いて、今に至るのだなあとちょっとしみじみしてしまいました。