11月の1冊は『ブライアーヒルの秘密の馬』(メガン・シェパード/ 作リーヴァイ・ピンフォールド/ 絵 原田勝・澤田亜沙美/訳 小峰書店)でした。
今回はレポートが13枚にもわたり、この作品に対するレポーターAさんの熱い想いが伝わってきました。
特に色にこだわって、まとめているところが興味深かったです。
また、作品の中でAさんが気になった個所が細かく調べてあり、それぞれが感想を述べやすかったのではないでしょうか。
参加者から出た感想は
〇美しい話だと思った。翼の生えた馬からはギリシャ神話を連想した。
〇悲劇を心と身体で受け止めているエマラインと現実の夢のあわいの世界に生きているトマスの存在が気になった。
〇好きな作品。絵の力が凄いと思った。
〇居場所のないトマスはエマラインと自分を重ねているのではないかと思った。
〇アナを失うことで心のバランスを崩すところが印象に残った。
〇挿絵に色がない分、あざやかに想像することができた。
〇自分の怖い記憶を閉じ込めるために鏡の中に馬が出てくるようになったのでは……
〇自分ではなかなか選ばない作品に出会えてとても感動した。
……というふうに、好意的なものがほとんでした。
〇主人公のエマライン親子関係を経験していなかったり、学習をしている場面が出てこなかったりするので、成長の物語と言えるのだろうか?
〇児童文学の枠を超えている作品だと思ったので、読者対象が気になった。
という疑問や意見についても活発な討議が交わされました。
作品をほとんどの人が面白く読めたということと、
2020年度最後の読書会ということもあり、大いに盛り上がった会となりました。
結核の療養所が舞台で不思議な物語ではありますが、参加者の心をとらえる魅力がたくさんあった作品だったようです。
挿絵が自分の想像以上の世界を創り出しているところが、物語を読み進めるうえで、大きな助けになっている点にも注目したいと思いました。